図書館の遠隔複写

図書館の遠隔複写サービスは、複写物を郵送してもらえても、FAXでは送ってもらえません。盲点でした・・・。

国会図書館などの図書館は、利用者の求めに応じ、資料の複製をすることが著作権法31条1項で認められています。

利用者によっては近くに図書館がなく、図書館があっても所望の資料が蔵書されていないことも多いでしょう。そのような事情に対応するために、遠隔複写に対応してくれる図書館もあります。その中でも、国会図書館の遠隔複写サービスは有名でしょう。

しかしながら、この遠隔複写サービスは郵送または宅配で複写物を受け取ることはできるのですが、FAXや電子メールでは受け取ることができません。その理由は、著作権法31条1項が「複製」することを認めても、「公衆送信」することを認めていないからです。

ここで「FAXは公衆送信なのか?」という疑問も生じます。著作権法を確認すると、『公衆送信』とは、「公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信を行うこと」をいうとされ、一方、『放送』とは、「公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う無線通信の送信をいう」とされています。したがって、FAXは、同一内容を同時に送信していないので、「放送」には該当しないけれど、「公衆送信」には該当してしまうことになるのです。

公衆送信は、同一内容を同時に送信する「放送」という形態しか従来社会になかったものが、オンデマンド型やリクエスト型といった送信サービスが出現したことにより、放送の概念を広げて規定したといういう経緯があるそうです。その経緯を考えると、FAXが公衆送信に該当するのは仕方がないことなのかなとも思います。

現状でも、国会図書館の遠隔複写サービスはNDL-OPACで電子的に申し込みが可能です。今は、この電子的申し込みは、司書の方が読んで、蔵書を探し、それを複写しているのでしょうが、利用者からみれば外形的には人間がやっているか機械がやっているかは分からないはずの工程です。だとすると、FAXや電子メールでの受け取りを認めてしまうと、リクエスト型の送信サービスに他ならないことになるでしょう。

それに、FAXや電子メールでの受け取りを認めてしまうと、絶版等資料にのみ認めた31条3項との差が事実上なくなってしまうようにも思います。

正直なところ、郵送がOKでFAXがダメであるという状況に理不尽さを感じてしまうのですが、どうすればよいのかをすぐには思いつかない悩ましい問題です。