ルイ・ヴィトンのエピ模様商標

平成23年度商標出願動向調査報告書(概要)によると「LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトンは出願した 16 件全てが文字商標である。」とのことです。

上記は弊所サイトのページを作成するために調べていたら見つけたのですが、非常に不思議に思いました。なぜならば、ルイ ヴィトン社と言ったら、エピ模様で商標登録を受けていることで知られているからです。

【登録番号】商標登録第4459738号
【登録日】平成13年3月16日(2001.3.16)
【登録商標】ルイヴィトンのエピ模様商標
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
第18類 かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ
【出願日】平成5年11月12日(1993.11.12)
【商標権者】
【氏名又は名称】ルイ ヴイトン マルチエ
(J-PlatPat: 商標公報4459738より)

この商標は、当初「単なる地模様と認識され得る」として、商標法3条1項3号(6号ではなく)の拒絶査定および拒絶維持審決がなされていました。これに対しルイ ヴィトン社は審決取消訴訟を提起し、逆転勝訴の後に商標登録を受けています。

東京高判平成12年8月10日(平成11年(行ケ)80号事件)

前掲調査報告書の調査範囲は、2008 年から 2010 年にかけて日本国特許庁に対して行った商標出願なので、上記エピ模様の商標は調査対象に入っていません。とは言え、ルイ ヴィトン社は、(文字が全く入っていない)地模様の商標を取得した後は、文字商標のみの出願方針へ変更してしまっていたことになります。本件商標事件に懲りてしまったのでしょうか。

ところで、今回初めて気が付いたのですが、本件商標出願は、当初商標法3条1項3号によって拒絶されているのですが、このことが後の帰趨に大きな影響を与えているように思います。商標審査基準によれば、地模様は3条1項6号に該当することになっており、本件商標出願も3条1項6号によって拒絶されるべきだったのかもしれません。

すると、ルイ ヴィトンのエピ模様がいかに著名であるとしても、少なくとも条文上は3条2項の適用を受けることはできなくなり、商標登録を受けることができなかった可能性も高くなります。

ルイ ヴィトンなら他にも沢山の著名な地模様を製品に使っているはずなのに、エピ模様の商標登録の後に同様の地模様商標の出願をしていないのは、3条1項6号と3条2項の関係に気付いて諦めてしまったのかもしれません。