JIS法および弁理士法の改正について

本日(2月27日)、「不正競争防止法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。JIS法および弁理士法は、「等」にされてしまっている小さな法律ですが、弊所にとっては重要な法律なので解説しておきます。

いわゆる「JIS法」は、正式名称を「工業標準化法」といいます(もうすぐ過去形)。このJIS法が、上記法改正にて「産業標準化法」に変更される予定です。

何故、法律の名称が変更されるかというと、今までJISの対象は鉱工業分野に限られていたからです。そして、これをサービス分野などにも広げる予定なのです。このJISの対象拡大は極めて大きな変化といえるでしょう。

実のところ、すでにISOなどの国際標準の対象範囲は、鉱工業分野からマネジメント分野やサービス分野へと拡大されていました。その一方で、日本の標準制度であるJISの対象は、鉱工業分野に限られていたのです。鉱工業分野のGDPは2割以下になっている一方で、サービス分野のGDPが約7割を占める現状を考えると、これは大きな機会損失だったかもしれません。

産業構造審議会 産業技術環境分科会 基準認証小委員会-報告書より

今回、JIS法が「工業標準化法」から「産業標準化法」になり、JIS規格が「日本工業規格(JIS)」から「日本産業規格(JIS)」に変更されるのには、このような背景があったのです。なお、JISの略称および英語名はそのまま継続して使用されるそうですので、実際上は、JIS法やJIS規格の呼び名を使えばよいことになります。

また、JISの対象範囲がサービス分野だけではなく、データやプログラムにも拡大されることにも注目すべきです。実際、改正条文にも「電磁的記録(プログラムその他の電磁的記録)」と「役務」を区別して追加しています。

不正競争防止法等の一部を改正する法律案の概要より

これと同時に、弁理士の標榜業務も拡大されることになります。この「標榜業務」というのは、聞きなれない言葉だと思いますが、簡単にいうと、

弁理士が、その名称と責務の下で、規格(JIS等)の案の作成に関して知財の観点から支援する業務を行えるようにする。不正競争防止法等の一部を改正する法律案の概要

ということになります。

不正競争防止法等の一部を改正する法律案の参考資料より

弊所では従前から中小企業向け技術標準制度である新市場創造型標準化制度についてご紹介させていただいていると共に、その普及に努めています。したがいまして、今回のJIS法および弁理士法改正は多くの人に知っていただきたい情報なので、ここでも紹介させていただきました。